春画が予想以上に面白かった。

何が面白かったって江戸時代のフェミニズムであった点である。春画本のほとんどはパロディであり世の中に対する皮肉であった。当時、発禁本であり裏ルートで出版されていたらしい。

例えば江戸時代に女子教育のための教科書として「女大学宝箱」という本があった。儒教の基づいて書かれた本で、平たく言えば「女は自己主張してはならず、人生を楽しむ事は控え、舅、姑、夫の言うことには忠実にしたがいうべきである。」という趣旨の本である。それに対し「女大楽宝開」という春画本が書かれている。もちろん「女大学宝箱」に対する皮肉である。
女大学宝箱では「結婚生活において大事な事、それはまず舅姑に気に入られることであり、舅姑の教えには決して逆らってはならない。それが幸せな結婚生活を続ける秘訣である。」それ対し、女大楽宝開では「結婚生活において大事なこと、それはまず色道である。色気と愛嬌を失わず、幸せな性生活を続けることこそ、幸せな結婚生活を続ける秘訣である」

当時の時代背景を考えると、女大楽宝開が書かれたのは徳川吉宗の次の徳川家重、江戸時代が始まり100年つまり平和な時代が100年続いた頃の話である。平和な時代が続くと男が威張っていた戦争の時代とは変わってくる。しかし当時の時代背景を考えると女が自立して生きていくことは難しく、親の決めた結婚相手のところに嫁に行くしかなかった。当時の女の幸せ、楽しみとは何か・・それは性生活を楽しむことだったのである。

その他、家庭用の医学書として「医道日用重宝記」という本があるが、それに対して「艶道日夜女宝記」という春画本が書かれている、前者には当時の医学に基づいた健康、体操の方法などが描かれてるが、性については一切書かれていないそれに対し後者の春画本にはセックスの時はどの様に快感を得るべきか、また女が自慰をする際、どんな道具を使い快感を得ると良いかまで書かれている。

200年以上前(1700〜1750年頃)にこんな本が書かれていたと思うと本当に笑える。開国して戦争に巻き込まれキリスト教系の堅苦しい教えに戻ってしまうのだが・・・