子供の頃学ぶべきは「がんばってもいい事なんてない」ってこと

最近の世相を見ても、今の時代に限らずそう思う。

「心の強さには2種類ある。子供の心の強さと大人の心の強さだ。子供の心の強さとは「我慢する」「あきらめない」「全部やる」「一人でやる」「完全にやる」自分に対する評価は厳しくあることが求められ簡単に今の自分に満足してはいけない。このような態度が周囲の大人から賞賛された。子供のころは我慢して努力していればだんだんできるようになる。学校で与えられる課題も、努力や忍耐で克服できるものが多かった。しかし大人になると少し違うタイプの心の強さが必要になる。「大人の心の強さ」だ。大人は体力・知力とも飛躍的に伸びない。今の自分を愛し、認め上手に使いこなす能力が必要になる。また世の中は、不公平や不平等、理不尽にあふれ努力しても報われないことが多い。それでもめげずに生きていかないといけない。一つ一つの課題には試験のような○×はなく、状況に応じて柔軟に考え、バランスを取っていかなければならない。」
「一昔前は、子どもは成長する中で自然と「大人の心の強さ」を身につけていくことができました。それは「農作業」を手伝ったり、農作業をする大人の姿を間近に見てきた経験があったからではないかと私は思うのです。農作業はすぐに成果が出ず、年単位でコツコツやるしかない仕事です。種をまき、苗を植えて、ようやく収穫できるかなというところに台風がやってきて、ほとんどの作物を奪っていくことも珍しくありません。それでもあきらめずに翌年も種をまく大人の姿を見て、子供は「人生の理不尽さ」やようやく収穫した作物をみんなで分かち合うことの意味を知ることができたのです。」
(学校では絶対に教えてくれない自分の心のトリセツ/下園壮太

私は子供の頃から、結果より努力が大事。努力は必ず報われるから・・と言われてきたきがする。特に小学生の頃入ってたサッカークラブではそういう前提のもとキツイ練習やらされた記憶がある。今思えば、スポーツこそ「人生の理不尽さ」を学ぶいい機会だったのだが・・だって小学生がどんなにトレーニングしたってどれだけ足が速くなる?遠投の記録がどれだけ伸びる?むしろ勉強の方が努力が結果に反映されやすいと思うが、実際には努力は必ず報われるという考えを体育会系は好んで使う。

真面目に努力してたのに就職出来なかった。リストラされた。 真面目に恋愛しようとしてたのに初体験はレイプだった。 愛情をかけて育てた子供が幼くして事故や病気で亡くなった。 コツコツ貯蓄してきたのに騙されて財産を失った。 真剣に相手を探したのに結婚できず寂しい老後を迎えた。

自分の体験で言えば、私は大学受験の時非常にがんばった。毎晩徹夜してやっと合格した大学では全く大学に馴染めず独りも友達が出来ず何の思い出もない学校生活になってしまった。就職活動時もコツコツ何社も受けてみても、チャラチャラした不真面目そうな学生があっさり内定取れましたと聞いて落ち込んだ。

メディアはいい話しか取り上げない。書店にならぶスポーツ選手の本も皆成功したひとばかりで、ものすごく努力したけど結果に結びつかなかった人の話は本にならない。テレビでもいい話は好んで取り上げるが落ち込む話は黙殺される。我々は無宗教でもどこかで神様を信じていて、真面目に努力していれば罰が当たらないはずだと信じてるところがある。「頑張ればいいことあるはずだ。」「いいことなんて保証されてないけど頑張らないといけない。」確かに前者の方がモチベーションとして高そうだ。

しかし、前者の人はそれが必要な頑張りなのか考えない。ブラック企業のような人を不幸せにする仕事でも徹夜したり我慢したりすればそれは尊い頑張りになってしまうからだ。また頑張ればいいことあるはずだという神話を信じた人は理不尽な状況に直面したとき弱い。特に理不尽ないじめにあった時、それを他者に繰り返す。俺は会社からこんな理不尽な扱いを受けた。だからそれを部下や下請け、家族等自分より弱い立場の人間に繰り返していいのだ。いわゆるハラスメントの連鎖に加担しがちだ。

逆に後者の頑張りとはなんだろう。頑張ることがいいことを保証してない以上、日常的に何でも頑張る必要などないのだ。でも理不尽な状況にあったとき、自暴自棄にならない、腐らない、酒や依存症に逃避しない。例え自分が理不尽ないじめにあったとしてもそれを他者に繰り返さない。

社会人を経験すれば理不尽なことばかりである。セクハラ、パワハラ、実力よりルックスやおべっかのうまいものが出世する。モラルなんてない。学校という温室育ちだとそういう状況を前にして感覚を麻痺させるしかない。そのことに気付きだしてもいつの間にか世の中ってそんなものさ・・と開き直る。見て見ぬふりをする。そんな社会人にならないためには、1度コツコツ1年間かけて育てた作物を収穫直前で台風に台無しにされた。それでも生きるためには、また1から種を植えてコツコツ育てないといけない。そういう経験を子供の頃からしておいたほうがいいのだ。