中産階級は奴隷より悲惨

今、自分の職場で40前後(アラフォー)の人の鬱病が多い。ここ1年で3名は見ている。理由は憶測だけど、仕事のハードさに加え給料の低さが原因らしい。私は給料の低さは気にならない。30歳で24,5万で充分だと感じる。元々、経済成長し尽くした国では給料が上がるわけない。覚悟は出来てるし、金で買える欲しいものもない。ローンはないけど、貯蓄はある。独身だし・・

ただ鬱になる人の気持ちも分かる気はする。自分も10年くらい前は金で買える欲しいものがあったときもあるから・・私は消費をアルコールと同じようなものだと思ってる。ストレス解消と感覚の麻痺をもたらし、依存症になる危険性のあるもの、問題解決を先延ばしにするもの。アルコール依存症の人から酒を取り上げると鬱になる。

ただ消費というのはアルコールに比べたちの悪いものだと思う。アルコールなら私は仕事のストレスで飲んでいるとか自覚があった上で楽しいお酒と言うのもありえる。それに比べ消費だとそういう自覚症状がない。元々マーケティングというものが人の無意識レベルの劣等感とか抑圧した欲望とかそういうものにつけ込んだものだから、自覚してしまったら楽しめない。

それとアルコールは個人の問題だが、消費と言うのは社会現象である。とも思う。例えば高級品、外車やブランド品を買って充足感を得たいとき、その価値を認めてくれる他者が必要である。要は高級車、ブランド物を買っても誰も「いいな〜」「素敵〜」とか言ってくれなければ充足感を得られないのだ。それと流行り物、テレビや音楽、レジャーなどで充足感を得たいとき、一緒に消費する他者が必要である。はっきり言えば日本のTVドラマやJ−POPに芸術的価値や社会的メッセージは0に等しい。それでも見るのはみんなが見るからである。学校や職場で話題を共有するため、逆に消費しなければ学校、職場に居場所がなかったりする。オヤジ世代が消費しない、車を買わない、テレビも見ない若者を嫌うのもある意味理解できる。消費と言うのは社会的現象、集団ヒステリーなのだ。

奴隷制が廃止された理由です。奴隷制は奴隷の面倒を見なければならない。 強制的に働かすには暴力で脅す必要があるので、軍隊のコストがバカにならない。 それに無理やり働かせてるのではモチベーションがあがらないから生産性が悪い。 それより解放して、一生懸命働けば豊かになれると思わせた方が、 進んで働くから生産性が高いわけです。でも、実際は賃金を管理されているから、 いくら一生懸命働いても豊かになれないのですが・・(植民地が独立できたのも 同じ理由による)」金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った (5次元文庫)


「「消費者」は、産業革命とともに生まれた。産業革命によって、工業製品の生産量が 飛躍的に増え、多くの人々が工業製品を買えるだけの経済的、時間的な余裕を 持つことが必要になった。生産効率が上がって増え続ける商品を、売れ残りのないよう 人々に消費をさせるには、人々の所得を賃上げで増やさねばならないし、 金を使う余暇を適当に与えねばならない。酷使される貧しい工場労働者を、 消費する中産階級に変えていくことが、実は資本家の好むところでもある。 大量生産がなかった産業革命前には、資本家の事業が一般の人々を巻き込む必要はなかったが、 産業革命後、資本家は一般の人々を、労働者と消費者の両面で巻き込まねばならなくなった。」資本主義の歴史を再考する

中産階級は奴隷より悲惨ということである。バブルでマイカー、マイホーム、流行のテレビ・音楽、海外旅行、消費を謳歌し、消費されることが社会でよしとされてた時代に、自分たちは北朝鮮より悲惨だなんて思いもよらなかっただろう。そんなこと言っても一笑して終わりである。けど今は違う。給料が下がったから悲惨なのではない。10年、20年、30年前以前からずっと悲惨だったという残酷な現実を突きつけられる。「お前の人生は実は30年間無意味で悲惨なものだった」って言われたらどんな気分だろう。更にいうと彼らは決してタイムカードや監視員が張り付いていやいや働いてきたわけではない。自ら進んで会社に貢献するよう教育され、そうしてきたのだ。それも鬱病の大きな原因であると思う。

それでも私はネガティブな現象だとも思わない。アルコール依存症からアルコールを取り上げるのは回復のきっかけになる可能性もある。


おまけ

酔っ払ってる時は幸せだ。♪でも神様は僕がどんなに惨めが知っている。♪
職を探して仕事を見つけた。♪神様は僕がどんなに惨めが知っている。♪

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