これからの時代の働き方について考えてみた。

平川克美さんは著書「移行期的混乱」のなかで、戦後56年から73年、74年から90年、91年から08年の三つの時代に分けている。56−73年は経済成長率が9.1%、エンゲル係数は40%社会の義のためと自分が食うために働く時代で、どこかお金は不浄なものという意識があった。それが74-90年は経済成長率が3.8%、エンゲル係数30%以下もはや食うために働く時代ではない、お金のために働く時代になる。91-08年の経済成長率は1.1%、バブルが崩壊、使い捨ての派遣社員や金で金を買う時代、仕事と生活のつながりがいよいよなくなり、労働モラルが崩壊する時代。

私が社会人として働き始めたのは確か2005年だったけど、その頃はまだ働くことに義があった。仕事がきつい、給料が安い、となんだかんだ文句言いながら世の中は一応正しく機能してると・・企業は忠誠を誓うに値すると大半の人が信じてた。ところがブラック企業と言う言葉がこれだけ一般化した今、企業に忠誠を誓う人は減った。感じるのはやる気がある人が減った・・=経営者目線の労働者が減ったということである。工事現場の労働者でも皆、現場のために働いてた。だから自分の仕事じゃないことでも多少やってくれた。けど今は自分の仕事しかしない人が増えてる。でもそれが正しいのかもしれない。

1番辛そうなのは現場所長だ。飲食業界なら店長に該当する。なぜならサラリーマンである以上労働者であるはずなのに経営者思考を求められるからだ。労働者=兵隊としてノルマがきついならまだいい。ところが所長や店長といった役職は人にやらせないといけないのだ。嫌いな組織に協力しなくてはいけない、そのジレンマに苦しむ。

ブラック&ホワイト - ひきこもり女子いろいろえっち
ここでいうホワイトさんのような人がこれからの日本人労働者の主流になるかもしれない。意識の高い指示待ち人間・・これからは労働者に経営者思考は求められない・・とすれば企業も組織の在り方を変えていかないといけない。

中産階級は奴隷より悲惨 - 社会考察日記 azalea
企業は労働者を厳しく監視しないといけない。奴隷制を解放して「やる気」に頼っていたが、もはや「やる気」には頼れないから厳しくノルマを課さないといけない。奴隷制の時代に逆戻りでは文明の退化のようだが、中産階級は奴隷以下という考えからすれば、マシな時代になるようにも思える。

確かなのは私たちは戦後から数えて4つ目の価値観の時代に来ているということ。消費の時代はいよいよ終わり、金で自己愛を充たすことはできない。この点は金は不浄なものとした戦後すぐと似てるのかもしれない。労働は社会との繋がりを絶つが、賃金は減るのである意味食うために働く時代に戻るかもしれない。少なくとも前3時代は勤勉は美徳だった。けどこれからはやる気を出して働くことは「悪」と見なされる時代になるかもしれない。