反省させると犯罪者になります
- 作者: 岡本茂樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/05/17
- メディア: 単行本
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面白い本だったので読書感想。
問題行動を起こしたら「すいません。ごめんなさい」と謝罪して、二度と過ちを犯さないことを誓う。これが学校現場だけでなく家庭や社会でも普通に行われてきた方法なのです。しかし、これでは問題を先送りするだけなのです。それももっと悪化させた形で。反省させるだけだと、なぜ自分が問題を起こしたのかを考えることになりません。言い換えれば反省は、自分の内面と向き合うチャンスを奪ってるのです。
学校でいじめがなくならない理由・・それは反省させようとするから・・モラルとして反省しなくてはいけないという社会的抑圧がいじめや犯罪の再発を招いている。いじめがあった時、いじめっ子に問うべきは「被害者の気持ちを考えたことはある?」ではなく「自分がいじめられた経験はない?」であると思う。
上辺の反省ではなく、真の自分の行動理由を見つけ、再発防止のための反省には「ハラスメントの連鎖」「自己愛」についての知識が必要だということだ。いじめ、犯罪、問題行動、それら原因の多くは自分が受けたいじめを誰かに繰り返してるか・・自己愛の飢え、承認欲求によるものがほとんどだからだ。その知識がないと、悪いのは自分の意志が弱いから・・という本当の感情を抑圧したものになってしまう。
そもそも人間は反応する→行動する→考えるの順番で動いてる動物だと思う。しかし世間的には考える→行動する、そして反応するのは意志が弱いからだとされている。
もちろん反応する→行動する→考えるの矢印間は0.1秒以下なので、万引きしたい衝動に駆られる→手が伸びる→いや、やっちゃだめだと考える、ので大半の人は万引きしない。もし最初の反応に抗えず万引きしてしまったなら、上辺の反省ではなく、自分がなぜ万引きという衝動に駆られるのか考えないといけない。
例えば社畜と言われる人の行動パターン、うつ病になり体を壊すまで働いてしまった。そう言う人の多くは、社畜にならざるを得ない原因があるにも関わらず、世間的には考える→行動するという建前に縛られているため、やりがいがあるとか家族のためという自分への言い訳を捏造して自分を苦しめてる場合が多い。
なので人間何であれ、犯罪でも、働きすぎでも、安易に反省してはいけない、相手の気持ちよりもまず何より自分の気持ちを大事に考えること、自分を大事にできない人間の他人を大事にすることなど出来ない。自己犠牲と謙虚さが好きな日本人気質が反省を求め、そして再発防止、問題解決を妨害してるのだ。
ハラスメントは連鎖する 「しつけ」「教育」という呪縛 (光文社新書)
- 作者: 安冨歩,本條晴一郎
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/04/17
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「いいね!」時代の繋がり―Webで心は充たせるか?― エレファントブックス新書
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