適応に値する社会の喪失 

最近、改めてインナーチャイルド療法を行っている。(インナーチャイルド療法については下記の本を参照)。そこで気づいたのだが、適応に値する社会というものがないということはこの療法を行う上でけっこうネックになってくるという事なのだ。子供がまだ乳児期(生後〜9ヶ月)の頃は社会適応の必要などない。食べたい時に食べ、寝たい時に寝、排泄したいときにする。この時期必要なのは欲求を満たされること、世界から大事にされ歓迎されることである。ところが、9ヶ月を過ぎて歩行期が始まるといつまでもそういう訳にはいかない。ご飯もご飯の時間まで待たないといけない、睡眠もベッドに入るまで、排泄もトイレに座るまで待たないといけない。我慢することを学ぶのだ。この時期子供は、親に対してイヤという「イヤイヤ期」を通過するし、なんでも一人でやりたがる時期も通過する。社会というものに適応するための、大人になるためのトレーニングである。

動物のドキュメンタリー番組でも子供がある時期になると、自分で餌を取ろうとしたり、親から離れて行動したりするシーンをよく見る。人間という動物もまた然り。ただ動物は大人になっても社会が適応に値するかどうかなど考えないだろう。人間の子供だって幼稚園や小学校が果たして適応に値するかどうかなど考えないだろう。でも人間は思春期以降けっこうそういうことについて考える。

親が完璧である必要などないが、全く愛情が感じられないとか、精神的に病んでると辛い。社会も同じく完璧でなくても良いが、全く居場所がないとか、適応する価値が見出せないと辛い。わたしは眠くても起きて会社に行き、食事の時間をずらしてでも働くような価値が仕事にあって欲しいと思ってる。ないならそのことに向き合うしかない。

大人になった時、適応に値する社会がないと言うことは、子供の頃、養育者がいないのと同じく辛いことである。そしてその事から目をそらして生きていこうとすると大変に辛くなる。なので、ニート、プロブロガー、旅人、ヒッピーとかが俺たちhappyで充実してるぜ・・というのが信用できない。だって親から虐待されたり捨てられたりした人が、俺たち親なんて必要ないぜhappyだぜって言ったら絶対嘘だと思うもの・・でもひどい親だったけど、その事と向き合ってカウンセリング受けて今はなんとか生きていけてる・・という話なら分かる。

だからこのご時世、働く意味も社会に出るという意味も見出せないかもしれないけど、それでもなんとかそのことに向き合って生きていけてるって成功例が欲しいのだ。

インナーチャイルド 本当のあなたを取り戻す方法〔改訂版〕

インナーチャイルド 本当のあなたを取り戻す方法〔改訂版〕

子どもを生きればおとなになれる―「インナーアダルト」の育て方

子どもを生きればおとなになれる―「インナーアダルト」の育て方

  • 作者: クラウディアブラック,水澤都加佐,武田裕子
  • 出版社/メーカー: アスク・ヒューマン・ケア
  • 発売日: 2003/07/30
  • メディア: 単行本
  • 購入: 11人 クリック: 50回
  • この商品を含むブログ (20件) を見る