ロスジェネ心理学を読んで

シロクマさんの本、ロスジェネ心理学を読んで思った事を書いてみた。
シロクマの屑籠←シロクマさんのブログ
http://www1a.biglobe.ne.jp/index/books/2012/201210losgeneshinrigaku.html←ロスジェネ心理学の紹介

人は自分に生きる価値があると思えないと生きていけない。だから自己愛というのは衣食住と同じように大切なものだ。自分に生きる価値がないと思ったら、それは自殺願望になる。私も1度そういう経験がある。

シロクマさん(というよりコフートの分析だけど)自己愛を満たす対象には3つある。

1、鏡映自己対象
子供の頃、母親に抱きしめられ安心しているとき。 ブログやツイッターでの発言が注目されたとき。 運動会や文化祭で注目され、拍手や声援を受けた時。
2、理想化自己対象
子供の頃、父親の力強い後姿に憧れを抱いているとき。 自分の恩師や先輩に強い憧れを抱いているとき。 自分の属する会社が、誇れる偉業を成し遂げているとき。
3、双子自己対象
入学したばかりの高校で自分と同じ境遇、趣味の仲間を見つけたとき。 似たような才能、経歴を持つもの同士が、お互い理解しやすいと感じたとき。 遠い海外を旅行してる時に、同じ故郷出身の日本人と知り合ったとき

子供の頃に、自己愛を満たされていれば大人になってから自己愛に飢えるということはあまりない。一概には言えないが鏡映自己対象は2〜4歳、理想化自己対象は4〜6歳、双子自己対象は学童期に満たされる、とされる。だから、人から称賛されることに一生懸命な人、アイドルや宗教にはまりすぎる人、やたら群れたがる人、それぞれの幼少期を憶測できる。(断定はできないけど・・)

理想を言えば、人は「何の長所もないし、何の特技もない、世の中に何の貢献もしてなくて、友達も彼女もいなくて、誰からも愛されてなくても、自分には生きてる価値があるんだ。」と思えるのが素晴らしいと思う。ただ、どんな恵まれた幼少期を過ごしても、どんなにカウンセリングを受けても、なかなかそれは難しくて、気付けば何かで自己愛を満たそうとしてるのがだいたいの人間だ。

「移行期的混乱/平川克美」でも日本の自殺率が高いのは価値観の変動が激しいからでは・・?という分析がされていた。世の中の価値観が変わる、つまりは今まで自己愛を満たしていたものを失うということだから・・身近に聞く話では職を失う時、中小企業の社長が会社が倒産したときの自殺が多いという。元々自己愛の低い人が起業することで自己愛を満たそうとしたが、その全てを失った。自分に生きる価値を見いだせなくなったんじゃないだろうか?

仕事も家庭も趣味や物も、市民活動、環境運動でもいつかはその価値を失う日が来る。いやな仕事を続けて、こんなことに耐える自分は偉いんだと思ってても、今まで資本主義はクソだから、ニートの俺には価値があるんだと思ってても同じく。

そう思うと、自分が1度自殺願望を持って、カウンセリングを受けたり、インナーチャイルド等を知ったのはいい経験だったんだと思う。最近はヒプノセラピーも受けている。恵まれない幼少期と生き辛さに耐えかねて知った世界だけど、そのおかげで自分は人よりも生きやすいんだな、と周りの人を見て思う。

筑摩書房 移行期的混乱 ─経済成長神話の終わり / 平川 克美 著
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