年の取り方が分からない社会、「若作りうつ社会」を読んで・・

シロクマ先生の「「若作りうつ」社会」を読んだ。正直前作、前々作の方が面白かった。ただ自分も30歳前半だから年の取り方というのは非常にリアルな問題なのだ。偉そうなことを言えば、周囲を見渡してもなかなか大人らしい大人が少ない、のはみな健全な20代を過ごせてないから成熟した30代、40代を迎えられないのだと思う。

小さな子供は子供の頃親に抱っこされ、甘えたり、注目され、大人になっていく。もちろん、そうした愛情を受けなくても体は大人になっていくが、甘えたい、注目されたい、愛されたいという感情は「インナーチャイルド」として残る。それを自覚してないと、愛情を求めろくでもない異性と付き合ったり、誰かに注目、肯定されたくて社会的成功を目指したり、歪んだ大人になる。

アダルトチルドレンインナーチャイルドに関する本を読むとそれについて詳しく出てるが、それは大体思春期までしか書かれておらず、20代以降については書かれていない。しかし自分が大人になって周囲を色々観察してみると、20代、30代、40代と人は色々変化していくものだと思う。20代の頃は40代以上の上司に認められたり褒められたりするのが嬉しかった。でも30すぎればそういうのはちょっと恥ずかしくなる。20代の頃は自分のために仕事をしてた。でも30過ぎれば、自分の事より部下や後輩のことを考えないといけない。自分のやりたい仕事でも部下を育てるために部下にやらせたり、部下のミスでも自分が責任を取ったりしないといけなかったり・・

前回の記事で「幸せのメカニズム」の中に人は若い頃は利己的だが年とともに利他的になっていくものである。と書いてある。30代を過ぎれば、太る、ハゲる、白髪が増える、シワが出る。そういう体の変化が出てくる。最初に大人が大人らしくないと感じると書いたのは、利他的な人が少ない、真面目な人が少ない、若いころと同じように流行を追い、消費してる人が多い。未婚の人が多い。体の変化を受け入れられない人が多い(不自然なほどのアンチエイジング等)。

この年齢ならこう振舞うべき・・とか堅苦しいことを言うつもりはない。ただ私は本来18から30くらいまでの間は働いて仕事を覚えることで社会の一員としての誇りを持ったり、社会について真剣に考え、社会がどうあるべきが考えたり、なにか一つのことを極めてみる・・等して、利他的なおじさん、おばさんになっていく。結婚して子供を作るかは別として・・人間の動物としての本能がそういう風に出来ているのではないかと思うのだ。

ところが今の大人世代にとって若い頃にすべきことというのはとにかく「遊ぶ」「消費する」ことなのだ。そしてそれは「真面目なんてカッコ悪い」という価値観とともにある。だから社会、政治、性、結婚、仕事についても真面目にどうあるべきか考えたことがない。子供でも、十分な愛情を受けずにおもちゃばかり買い与えられても精神的には大人になれない。20代の頃はたっぷり遊んだ。でも遊んだだけの20代じゃどうゆうおじさんおばさんになっていいか分からない。

そして今の若者には社畜ニートの二択になり、働くことによって社会の一員として誇りを持ったり、後輩や子供に俺のように生きろと胸を張っていう事ができない。大学には遊ぶだけの場所となり真面目な人には居場所がない。私たちのほとんどは健全な青年期を過ごすことが難しい。

解決方法としては喪失を受け入れることしかないと思う。子供のころ虐待や無視を受け苦しむ人も子供の頃を振り返り向き合うことで乗り越えるように・・私は健全な20代の青年期を失ってしまいましたと認め、怒り悲しみ乗り超えて年をとっていくしかない。

「若作りうつ」社会 (講談社現代新書)

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